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ゲストのコラム
「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス−1 「苦しいとは言わない方がいい」」

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2009年4月13日

 エサや肥料等の色んな資材が値上がり、加えて肥育素牛の市場価格は下がってしまい、繁殖農家さんにとっては冬の時代が来たような感があります。肉牛を飼っている方は皆、厳しい経営を余儀なくされています。しかしこういう時こそ生産効率を上げる努力を通じて、経営を良くする機会ととらえましょう。
 子牛相場が高い時は、あまり努力をしなくても誰でも所得は確保できました。現在は努力をした人だけが所得を得る時代となりました。その所得を確保する方法には2つあります。1つは、販売する子牛を少しでも高く販売すること、2つ目は分娩間隔の短縮や子牛の疾病を減らす等の、生産効率を高めることです。例えば10頭の繁殖牛を飼育していて、これまで6頭しか市場出荷出来ていなかったものを、7頭出荷することで、6頭×50万円=300万円を7頭×40万円=280万円にすることで収入減を少しでもカバーするのです。
 加えて販売牛を高く売るためには、血統や発育を良くすることも重要です。そのためには、母牛の世代交代を早めることも必要です。資材が上がったからといって、経費の削減にばかり目をやるのではなく、どうやったらこれまで以上に生産性を高めることが出来るのか、工夫しましょう。
 自動車の世界では「カイゼン」といって、生産効率を高めるため常に作業工程の見直しを行って来ました。我々も現状に甘んじることなく、少しでも質が高く肥育農家さんが喜んでくれる牛づくりに努めましょう。
 これまでも肉牛相場は、上がり下がりを繰り返してきました。今辛抱して、堪え忍んだ人が数年後には笑顔で過去を振り返られるのです。

(つづく)
著:十勝農業改良普及センター十勝北部支所 出雲将之

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