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松本大策のコラム
冬場の管理

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2017年2月13日

日本海側では記録的な豪雪で大変な被害がでていますが、みなさんの牧場は被害はありませんか?冬場になると肺炎が増えてきたり、敷料の発酵が悪くなって牛さんのお腹が冷えたりと、いろいろ不利な状況になります。

 肥育牛でも、「なんだか牛が絞れて痩せてしまった」という相談が増えてきます。中には、痩せてきたのでタンパクを増やそうと思って大豆粕を与えたが太らない上に、尿石が出てきた!という相談もお受けします。

 確かに牛さんが太るというのは筋肉の材料である「タンパク質」が重要なのですが、タンパク質を身につけるためには、エネルギー(いわゆるカロリー)が必要です。ところが、冬場は体温の維持のためにエネルギーがたくさん消耗されます。ですから、冬場に牛さんが痩せてくるのは、与えられているタンパク質の量には問題がなく、そのタンパク質を身につけるためのカロリーが不足していることが原因なのです。

 ですから、タンパク質だけ増やして与えると、吸収したものの、身につかないために増体が回復しないのです。

 それどころか、身につかなかったタンパク質は、老廃物のアンモニアとなって全身を回ります。アンモニアは猛毒ですから、繁殖牛では受胎率も下がってしまいますし、去勢牛やオス子牛では、尿中のアンモニアが増えて尿のアルカリ化を起こし、尿の中に溶けている(イオン化している)リンとマグネシウムが結合して尿石になってしまうのです。

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