(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
笹崎直哉のコラム
子牛の哺乳時で何に気をつけていますか?その8

コラム一覧に戻る

2017年2月6日

 皆様お疲れ様です。最近では鹿児島もほんの微量ですが、雪が降る日が到来しました。幸いにも雪は積もることなく、診療車にはいつ出番が来るかわからないタイヤのチェーンが積まれており、結局未使用のまま眠っております。あ、もちろん冬でも診療車はノーマルタイヤですよ(^_-)-☆。初めて迎えた鹿児島の冬ですが、寒さは比較的容易に乗り越えられましたが、日中の急激な天候の変化や気温の変化が大きくその点は悩まされました(笑)。朝はジャンバーを羽織って診療していたのに、昼からは半袖になって仕事するなんて日もありました(笑)。春はどんな気候になるかわからないですが、少なくとも大寒波到来で大雪にならないことを願っています(^^)/
 
 
 さて今回は人工哺育で皆様が当たり前のように気を遣っているでしょう②乳の温度について紹介します。なぜ「温度調節が必要なのか」というと、ミルクが体内に流入してから消化、吸収に携わる「酵素の働き」を左右するためです。哺乳期の子牛が液状飼料から効率よく利用される栄養素は「乳タンパク質、乳脂肪、油脂、乳糖、ブドウ糖」が中心になります。栄養素をしっかりと体に取り込むためにも酵素活性を最大限に生かすことは重要であります。具体的には唾液に含まれる脂肪分解酵素、第四胃内の酵素、小腸で分泌する酵素、膵臓で産生させる酵素によって消化、吸収の過程が成り立ちます。酵素はタンパク質で構成されていますから、反応温度の上昇に伴い、熱変性が発生し失活してしまいます。よって現場ではミルクの温度を体温に近い温度「39℃前後」で汎用できるようにしています。またミルクの温度は子牛がミルクを飲んでからスムーズに食道の開口部から第四胃まで到達するように働くバイパス通路形成過程である「第二胃溝反射」の発現にも関係するので、温度の調節は念入りに行っていくことをお勧めします。

|