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斉藤晶さんはとても小柄で、今でも牧場を見回る時は一緒について行けないくらいの身軽さです。侍の時代だったら“忍びの者”になっていたかも…? 斉藤さんは自分が苦しい時や困った時には山の頂上の一番高い木に登って枝にチョコンと腰掛け、唯一の財産である自分の山を眺めたり、遠くに見える山並みや山裾の集落などを見渡して気を静め、“ここで家族が生きていくためにもっと楽できるうまい方法は無いんだべか?”と考えていたそうです。 … この写真は木の枝の上ではないのですが、きっとこんな感じで枝に腰掛けて“いったい、どうしたら良いんだべ?”って考えを巡らしていたんでしょうね…。 … そんなある時、山を自由に飛んでいる鳥や虫たちの姿が目にとまりました。自分達は汗水たらして死ぬほど苦労して畑を耕し、食物を作るため働いているのに、ほとんど収穫も出来ず一向に生活は良くならない。それに比べ、山にいる鳥や虫たちは汗水たらす訳でも、物を作るわけでもないのに楽しそう?に悠々と暮らしている…。 なんでだ…? この違いはいったい何だべ…? そうか〜っ! 人間たちは、自分たちの考えや都合で大自然に立ち向かって何とかしようとしているけれど、鳥や虫たちはこの自然の中に溶け込んでいる!だったら、自分たちも自然の中にいる生き物として、虫たちと同じように自然に溶け込めば悠々と楽しみながら生きていけるのではないか?そのために“人間は何でもできる特別の存在なんだ”という“ヒトの勘違い”を捨てて、自分も自然の中に生かされている生き物の一部になろう!…と心に決めたそうです。 この事件?をきっかけに、ふんだんにある山の恵みを利用して牛さんたちが主役の山の開拓?が始まりました。
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