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開拓団から独立し山形から奥さんを連れてきたものの、斉藤さんが手に入れた場所は人里離れた高さ380m、麓からの標高差は100m以上もある石だらけの未墾の地8.5 ha。 麓で働きながら山で切り倒した木を大工さんに製材して貰い、自分も手伝いながら1年がかりで何とか建てた家はあるものの、財産はこの山奥の土地と独立した時に連れてきた山羊2頭と綿羊5頭。食料はほんの僅かに切り開いた所で作ったトウモロコシとジャガイモ、あとは山だったが故に豊富にある山菜や木の実と山羊の乳。これらは全て自家用の食料です。 農具を買うにしても生活するためには多少なりとも現金が必要になります。そこで換金作物を作るための畑を拓き、種をまいて野菜作りに挑戦。しかし、開墾したばかりの土地なので作物が伸びるより、雑草がワンサカ!毎日ヤブ蚊やブヨと戦いながらの雑草取りの繰り返し。 挙げ句の果てに収穫期になると野ネズミや野ウサギの集中攻撃を受け作物は壊滅状態。奥さんも過労が原因で入退院の繰り返しだったそうです。 開拓団として入植してから6年間働き続けたにも関わらず、働けば働くほど苦しくなる状況の連続。絶望感が押し寄せる中、ある日木登りの大好きな斉藤さんは山の頂上にある一番高い木の枝に腰掛けて下界?を見渡しながら“木の上で考える人”になっていたそうです。
(つづく) |