(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−31 「脂肪の話題(2)」 (東京都 村田六蔵)」

コラム一覧に戻る

2008年12月2日

 もう少し脂肪の話題では、神戸大学の万年先生らの研究により、SCD遺伝子により飽和脂肪酸が不飽和脂肪酸に換わることがわかっています。
 これは、SCD遺伝子レベルで、DNAのアミノ酸配列に違いがあり、アラニン(A)とバリン(V)による違いでアラニン(A/A)を含む遺伝子を持つと不飽和脂肪酸が増加しやすい牛とバリン(V/V)を持つと飽和脂肪酸が多い牛に分かれます。(中間のA/Vもいます)最近では、各地でこのSCD遺伝子を調べてきていますから、情報として聞かれていると思います。ちなみに兵庫県の種雄牛では、70%がアラニン(A/AかA/V)タイプだそうです。
 SCD遺伝子の調査は、各県単位でも行なっているところが増えているようなので、各地の種雄牛のデーターが出てくると思います。
 しかし、不飽和脂肪酸の含量がSCD遺伝子だけであるとは、考えにくいと思います。その理由の1つとしては、給与する配合飼料の原料により、この不飽和脂肪酸含量が変化することがあります。
 例えば、穀類で大麦を多くした配合飼料を給与したときには、比較的硬めの脂肪になり融点が高くなりやすいことは、飽和脂肪酸が多くなっているということになります。その代わり、ある一定量のとうもろこしやとうもろこしの副産物であるホミニフィードを給与すると融点が下がった不飽和脂肪酸が多くなってきます。
 また、粗飼料でも、イナワラと比較すると麦わらや乾牧草などでも脂肪酸組成が変ってきます。ですから、SCD遺伝子だけではないことを、万年さんなども言っていますから単純ではないようです。

 次回からこの脂肪ついて考えていきたいと思います。

(つづく)

|