少し前ですが、家畜改良センターに行ってきました。 家畜改良センターは、福島県西郷村にある本所にですが、話題は牛肉中の脂肪酸組成についてです。家畜改良センターの河村課長さんの技術第二課では、官能検査を担当されていて、いわゆる「味」という課題に取り組んでいます。そこで、牛肉中の脂肪酸組成について話を伺いました。具体的なことは、いろいろあるのですが、最近の話題で「オレイン酸」の含量が高いことが美味しい基準になるのかということでした。結論から言うと、「オレイン酸が多くても牛肉が美味しいという決め手ではない」ということでした。 不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸については、多くなると脂肪の融点が低くなるので、溶けやすい脂として口溶けがよいとされているものですが、これはどちらかというと脂肪の「風味」に影響しているそうです。ですからオレイン酸=美味しいとはいかないということでした。確かに、美味しいといことは、数値にしにくいのですが、旨みなどの成分はアミノ酸ですから脂肪ではないということです。 しかし、一方最近の改良により、牛肉中の脂肪含量は50%くらいになっておりよく考えると半分は脂肪ですから、その脂肪が硬い(融点が高い)と口溶けの悪いものだと美味しく感じないと思います。このことは、BMSの基準とか種雄牛の改良なども関係しますが多くの方が昔よりBMSの評価が厳しくなってきていると感じているのではないでしょうか?このままだと肉より脂が多い牛肉まで進むような気がしますが、どこかで止まるのでしょうか?? — もう十分ですよね! 「たくさん食べられる牛肉」という観点から見ると、本当に脂肪が多いといいのかな?という疑問がありますが、実際に和牛牛肉(A5レベル)を飽食経験がない私としては、A3でも十分なのですが、これをいうと仕事がなくなりますから(苦笑)これ以上は………… また官能検査では、食べる量が決まっているので、「たくさん食べられる牛肉」という観点からだと少し違がありますから、おそらく肉屋さんなどが評価する肉との違いが出てくるでしょう。この美味しさの研究は、牛乳などでも過去行なってきましたが、なかなか難しいという感じですね。ただ、この問題に取り組んでおられる河村課長さんより貴重な話を聞けたので大変に参考になりました。
(つづく) |