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秘境の郷の牛飼いだより ~第14回~

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2017年1月21日

⑭ 我が家の畜産経営

 東北地方を中心に寒波が激しくなってきましたが、牛舎の防寒対策は万全ですか?
 冬といえば椎葉村では11月から12月末にかけて各地で夜神楽が奉納されました。椎葉の神楽は26地区で継承されており、国の重要無形文化財に指定されています。しかし、山村の後継者不足により、実施できないところも出てきている状況です。
 私の神社でも12月3、4日に、五穀豊穣、家内安全、無病息災、商売繁盛を祈願して33番が奉納されました。参拝して下さった皆さん、ありがとうございました。


 夜神楽は夜を徹して行われます。次の日の朝に行われる最後の演目「真剣による大蛇切りです。切っているのが私で、見事に一発で切ることが出来ました(剣先がワラ枕まで通っています)


 子供達も参加して舞います。子供の頃から経験していると大人になって帰ってきてからすんなりと参加できます。鬼神の供舞をしているのが小学校時代の息子です。

 今回は、細々とやっている我が家の経営について紹介していきたいと思います。
 今日は隣の熊本県球磨郡に稲わらロールを購入に行ってきました。耕地の少ない椎葉村では粗飼料の確保が一番大変な作業です。(労力的にも経営的にも・・・)
 数十頭の飼育になれば、すべて運送会社に頼んで購入したり、TMRの利用が普通になりますが、私のように10頭規模では、やはり経費がかかりすぎるので時間を見つけて自分で運ぶのが、ベターだと思っています。購入先の畜産農家との意見交流も出来て、重要な情報源となる事もあるのでいいですよ。特に血統構成や飼育技術の勉強になります。


 ロールわらの輸送、日本一悪い酷道(国道)といわれているR265号線を2時間かけて運びます。もう少し近いか道がいいと助かるんですが・・・

 私の家は山の中腹にある一軒家です。隣の家はかなり離れており(道路距離で600m位)子牛が脱走してもすべて家の敷地内なので、人の家に悪さをすることはありませんし、どんなに大きな声で夫婦喧嘩をしても、誰にも聞こえません(笑)
 家の回りには、小さな畑と田んぼがあり、米と飼料作物を作っています。機械も大型の機械は入らないので、小型の機械での作業となります。
 また、標高700メートルの高冷地なので、夏秋野菜を栽培する人も多く、家でもミニトマトを栽培し出荷しています。


 山の中腹で牛を飼っています。手前は牛の放牧場にする為に木を伐採したところです。


小さな機械での作業がほとんどです。圃場も広くて、大きな機械で出来るところが羨ましいです。

 繁殖牛は10頭で、現在子牛が6頭ですが、1月の分娩予定が4頭おり気が抜けません。どうしても分娩が集中してしまうので、分娩牛舎の確保に困っています。
 特に冬場の分娩は大変ですよね。繁殖農家にとって分娩事故があると致命傷なので特に気をつけています。たかだか10頭ですが事故防止の為に昨年から「牛恩恵」を導入しています。勤め人の牛飼いには分娩時期がはっきりと分かるので、とても助かっています。でも、膣脱の気がある牛には使用できないのが残念です。今、そういう牛さんが一頭おります。おかげでここ数日、分娩が始まっていないか確認する為に夜中に何度も起きて確認作業をしており、寝不足となっています・・・眠い


 牛恩恵を付けている牛さんです。勤めをしている兼業農家には特に助かっている機材です。ちなみに壁の看板は、廃品利用ですので、そのつもりで見て下さい(皆さん気を付けましょう、笑)

つづく

宮崎県椎葉村 椎葉 勇

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