ところで、「牛は人の映し鏡」の件ですが、その酪農家では、搾乳時にミルキングパーラーに牛が入らないので、パーラーの待合所に追い込むのに棒を持って言うことをきかない牛を叩いて追い込んでいました。また種牛も言うことをきかせるために叩いていたようです。 その後、その牛舎で起こったことは、2年後には約半分の牛が乳房炎などの疾病でいなくなりました。またそこの息子さん、奥さん、主人と次々と種牛にやられて最後には親父さんは肋骨骨折、内蔵損傷で入院しました。またこの牧場の経営も最近の非常に厳しくなっているようです。 同じ経験は、自分自身にもあり、搾乳している時に一緒に仕事をしていた人が牛舎で大きな声を出した時に、搾乳していた牛が緊張してミルカーを落としたことがありました。その人が、肥育牛を体側すると、他の人がするよりも倍近く時間がかかりました。 このようなことから、牛は人をよく見ているなと感じたのですが、現場に行くとそのことがよくわかります。それは、人に対して牛がどのような行動をするかです。私の師匠は、「牛の満足度が高いと人に対する親和性が高まる」と教えてくれました。最近は、牛舎に入ってこのことがよくわかるようになりました。これは、肉牛の肥育であれ繁殖であれ酪農であれ皆同じです。 あなたの牛は、人に対して親和性が高いですか低いですかという観点で見るとまた違った視点ですが、この親和性が高いと比較的成績も良いと思います。牛の親和性を高めている人は、牛が好きである方であるといえると思いますね!
(つづく) |