(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−23 「とうもろこしを作ろう(その12)」 (東京都 村田六蔵)」

コラム一覧に戻る

2008年9月30日

 牛の場合には、反芻胃と呼ばれている第1胃ルーメンという大きな発酵タンクを持っています。そのために、繊維分を利用できるのが大きな特徴です。
 このことは、多くの牛飼いさんの方は知っていると思いますが、最近妙なことに気付きました。種子メーカーのカタログを見ていると種の品種紹介は載っていますが、それを牛に給与したデーターがありません。(全くない)それぞれの栄養分析のデーターはありますが、牛への分解性や消化性は全く掲載されていません。
 アメリカなどでは、品種選定する際には、牛のルーメンを用いた分解性試験を行い、そのデーターを含めて品種選定するようですが日本ではこのようなことをやっていません。とうもろこしのほとんどは、海外の品種が主体ですから輸出元のメーカーにはデーターがあると思いますが、その意味するところがまったくわからないのか、そんなことは関係ないと思っているとしか言いようがありません。
 もしかしたら、日本の飼料作物の育種や品種改良をしている方の多くは、牛についてまったく知らないと思います。下手をすると牛を見たこともなかったり、実際にサイレージを作ったことがない方も多いようです。しかし、それではこの厳しい環境では農家への利益?を与えていくということにつながる事でしょうか?
 あるメーカーの方から聞いた話ですが、実際にルーメンを使った牧草の利用性試験を行ったら、そのメーカーの品種が他のメーカーよりも悪い結果が出たそうです。それを報告したら、そのデーターは、間違っているとされて、その半年後にその人は遠く離れたところに全く異なる職種で左遷させられたそうです。このような話を聞くと悲しくなってしまいます。

 この利用性については、とうもろこしだけではありませんが、牛からの目線で研究が進めることが、牛飼いの世界全体をようすることだと思っていますが、皆さんいかがでしょうか?個人的な思いが強すぎるかもしれませんね!

(つづく)

|