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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−22 「とうもろこしを作ろう(その11)」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年9月24日

 すっかりとうもろこしの話が長くなりました。余分な話も多いのは中身がない証拠かな?
 サイレージの話は、とうもろこしは他の材料よりも作りやすいので、基本通りに作れば70点以上のものは作れます(多分?)ので今まで上手く出来なかった方も挑戦しみて下さい。(もちろん初めて方もですが)
 そこで、出来上がったサイレージの給与方法ですが、実はこれが一番難しいことです。とうもろこしサイレージは、栄養的にはタンパク質が少なくカロリーが高い(実の部分はでんぷんですから)のであまりやり過ぎると肥ってしまいます。(繁殖母牛や育成牛のことですが)現場での給与している例を見ると、サイレージを5kgから10kgくらいを給与しています。その際には、ややカロリーが低めな配合飼料を使ったり、配合飼料を少なくしてアルファルファの乾草を給与したりして、栄養のバランスを取るようにしている例が多いようです。
 またある育成牛の試験例では、サイレージの品質が良い場合には、10kg以上でも乾草の乾物摂取量が高くなり増体が良くなった報告もあります。
 しかし、ある県に行った時には、農家さんから「コーンサイレージ」は子牛にはやらないようにとの指導を受けているようです。どうしてかと聞くと「牛が肥るからだ」ということでした。
 コーンサイレージはカロリーが高いので肥りやすいですが、実際に子牛市場に行くと太っていない牛を探す方が難しいことも往々にしてあります。確かに太っていると肥育する際に邪魔になる皮下脂肪が多いので上手くいかない確立が高くなりますが、本当に太っている原因がコーンサイレージだけか?と言いたくなります。どんな配合飼料でもサイレージでもその原料が持っている特性を把握して上手に利用すればよいことではないでしょうか?
 この農家では、困ってしまいコーンサイレージを親牛にやるしかなくなり親牛が太ってしまい、これでまた困っているというおかしな現象になっていました。「とうもろこしは作りやすいのにどうしたらよいのかな?」と質問されました。
 いろいろな意見があると思いますが、配合飼料や輸入している乾牧草が高騰している時期に自給飼料や食品残渣物をうまく利用して経営することも大事なことだと思います。ただし、間違っていけないことは、肥育素牛を肥育向けに適したものに作り上げるということが大事なことには変わりありません!

(つづく)

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