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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−21 「とうもろこしを作ろう(その10)」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年9月16日

 サイレージに話が続きますが、詰め込み時間と鎮圧について話しましたが、次に大事なことは、きれいに切断するということです。わかりやすい表現では、はさみで切ったようにすることです。
 これは、引きちぎるように切った場合との違いは、結構大きくて、これでサイレージの品質に影響が出てきます。これは、サイレージ中の水分活性との関係があります。わかりやすい例で言うと大根です。大根の水分は同じですが、大根おろしにすると水分が多く出てきますが、刺身のツマのように千切りにしてしまうと水分が出てきていません。大根の水分は、どちらも同じですが、実際にはすごく水分が違うように感じますよね!これと同じことが、サイレージでも起こってしまうのです。
 これは、結合水と自由水と呼ばれていますが、同じ水分のものでもその切断の仕方によって大きな違いが生じてしまうのです。特に、水分の多いサイレージの場合には、影響が大きいことになります。結局、ぐちゃぐちゃの切断されたサイレージは、水分が余分に出てきますので、酪酸臭のする、臭いの悪いサイレージになってしまいます。
 このような、サイレージはアンモニアも多くなりやすいために、人が扱うにしても大変で牛舎から家まで悪臭を染み付かせることになります。このようなサイレージには、雑菌が多く繁殖しており乳牛などでは乳房炎の起因菌や人に湿疹やかゆみを与える菌などが繁殖してしまい、時には夫婦生活にも支障を起こすカンジタ菌なども繁殖しますので要注意です。
 とうもろこしサイレージでは、あまり高水分の原料を使うことは少ないでしょうけど、この切断面がシャープになっているかどうかだけでもサイレージの摂取量に影響がでますから、良いサイレージを作るためには、ハーベスターの歯を常にシャープに砥いでおく事が重要になります。

(つづく)

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