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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−20 「とうもろこしを作ろう(その9)」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年9月9日

 「でもどうして良いサイレージがあればいいのかな?」という質問に答えられますか?
 一般的には、「良いサイレージは、良く食べるから」「生産性(乳量や繁殖成績)が良くなるから」という結果がよくなった経験から言っていることが多いのですが、結局「良いサイレージ」では「儲けることができるサイレージ(粗飼料)」ということができます。悪いサイレージでは、なかなか儲からない(疾病が増えたり、乳量が減ったり、繁殖が悪くなる)ということです。

 このために、できるだけ良い原料作りを話してきましたが、サイレージはどのように作ったらよいのでしょうか?
 この質問されると、一言で言うと「漬物作り」ですと答えます。すなわちサイレージ=漬物になるわけです。サイレージも乳酸発酵させることが基本ですから、漬物作りと同じことになるので漬物を作るときと同じことをすればよいのです。(規模が違うだけです)漬物を作るときに、漬け込みを3日も4日かけてするでしょうか?必ず1日で漬け込みますよね!(もちろん一樽分ごとですが)漬物を何日もかけると漬物になりません。よく見かけるのは、何日もかけてサイロに追い詰めをしているのを見ますが、出来上がりは期待できないものになります。基本は、できるだけ早く詰め込み、密封することです。サイレージは、乳酸発酵ですから空気(酸素)があると乳酸発酵しません。酸素があると、カビや酵母がどんどん繁殖しますから出来上がりは、いやな臭いのするものになります。
 次には、漬物漬け込み時には、上から十分に押し込みながら漬け込みをして最後に重石をしますよね。これは、材料中の空気を抜いて早く嫌気性(空気(酸素)のない状態にする)にして発酵するようにします。そうすると材料中の水分が抜けてきて発酵が十分にできるようにしています。

 ここで、最近良く見かけるバンカーサイロやスタックサイロのように地上に積み込むタイプのサイロ作りでは、この水分が十分に抜けるようにするためには、出来上がりの高さを高くても2m以下にすることが良いサイレージを作るコツです。この2m以下という高さは、上から鎮圧するとちょうど水分が下まできれいに抜けるたかさです。これ以上の高さに積み込むと余程鎮圧をかけないと、サイレージの断面で水分がある部分とない部分が縞模様のようになります。最近このタイプのサイレージの品質が低下しています。その原因として積み込み時の高さが高くなり、鎮圧が不十分なことが指摘されています。せっかく作るのにもったいない話ですよね!

(つづく)

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