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戸田克樹のコラム
第118話「年始の難産①」

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2017年1月6日

2017年が明けました。
コラムをご覧の皆様、本年もなにとぞよろしくお願いいたします。
正月の三が日も終わり、診療所も普段と同じような雰囲気に戻ってきました。子牛のセリ市も始まりましたね。とある農家さんが購入した肥育素牛は126万円。思わず、「この子、戸田が触っても良いのでしょうか」と聞いてしまいました(笑)。ちなみに最高値は150万円だったそうで、新年早々ビックリ仰天です。

さて、1/4夕方に「産道が狭い」との稟告で往診です。
今回が2産目の母牛で予定日から3日が過ぎていました。頸管が腕1本入るくらい開いてはいたのですが、子宮ががっつり捻転していました。右方向に90℃の捻転です。子牛のバイタルは非常に良好でしたが、残念ながら後ろ足から出てこようとしていました。

まずは「子牛を押し込んで捻転を取ろう」作戦にトライです。子牛を奥に押し込んで、その重みで子宮の捻じれを解除しようというものです。しかし!!相当な激痛が走っているのか押し込むたびに母牛は座り込んでしまいました。それでも数回試しましたが改善なし。この方法ではNGです。

次に「ローリング法」にトライです。四肢をしばり、母牛を右に左にと転がして子宮の捻じれをとる方法です。しかし!部屋が狭く、母牛を転がすことができませんでした。これはトライする前に気が付くべきでした。失敗です!

さらに、母牛の後肢吊上げ法にトライです。後ろ足をしばり、農機を使って高くつりあげて、子宮を母体ごと浮かし、胎仔の重みで捻転を解除しようというものです。農機でじわーっと上げていくと「ガタン!!!」屋根にあたってしまいました。天井が低かったのです。ぎりぎりまで上げて、子牛をゆっくり押し込んで捻じれがとれないかトライしましたが、うまくはいきませんでした。

つづく

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