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笹崎直哉のコラム
子牛の哺乳時で何に気をつけていますか?その4

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2017年1月5日

 皆様、新年あけましておめでとうございます。私は年末年始を鹿児島県で過ごしたのは人生初ですが、特にこれといった特別なことはせず、いつも通りに元旦からハイテンションで診療車を走らせ、仕事していました!(^^)!。松本社長も年末年始は事務所に顔を出してくれて、元気に仕事をしています。今年も鹿児島のこの地でハングリー精神をもって仕事、勉強に励みます。今後ともどうぞよろしくお願いします。

 では前回のコラムの続きに入ります。
一般的な産後の乳量の話をしてきましたが、なんといってもお母さん牛の乳房の張りが悪く乳量が十分なのかどうか分からない場合や育子放棄をする場合があります。そんな場合は、自然と人工のミックス哺育、あるいは人工哺育の方で子牛の哺育をするのですが、、、この話はまた後程に、、、 

 さて乳量について触れましたが、もう一つ自然哺育でポイントとなるのは乳質です。残念ながら、お母さん牛が毎日その都度、同じ品質のおっぱいを子牛に飲ませるのは不可能に近いです。お母さん牛も生き物なので日々の体調が乳質に影響してしまうのです。体調を左右する要因として考えられるのは主に①気候変動②お母さん牛の発情③飼養管理が考えられます。具体的に紹介すると、、、

 ①気候変動による影響について、私が診療中に感じるのは、気温や湿度の日内変動が大きいときです。そんな時はお母さん牛の乳質が変化したためか、子牛が下痢をしているケースが多いです。私はこのような場合、お母さんの牛が易感染状態etc…になっているのではないかと推測します。よって軽度な乳房炎を発症しているとみなし、子牛ではなく、まずお母さんに注射をしてあげるようにしています。
具体的にはペニシリン系などの抗生物質(日和見菌やその他のバイ菌退治が目的)、デキサメサゾン(白血球の遊走阻害、アルコール不安定乳の改善が目的)、ビタミンAD3E(粘膜免疫能の改善、抗酸化作用発揮が目的)の一回投与をしてあげます。
 抗生物質は乳汁中に移行するので、子牛の下痢治療には理にかなっていると思います。デキサメサゾンに関しては5ml投与が今までで一番反応が良いです(ただし、妊娠牛には投与禁忌です泣)。そうすると翌日しっかりと子牛の便が絞まり、固まっていることが多々ありますよ~。

 ②お母さん牛の発情については、乳質に影響が出る理由は正直なところはっきりと分かりません。ホルモンバランスが関係しているからでしょうか、、、。そんな時は無理にもお母さんの牛のおっぱいを与えずに子牛にマスクして断乳させたり、代用乳を与えることを推奨します。

 ③飼養管理についてですが、これは次回紹介させていただきます。粗飼料に関することを中心に進めていきます。

つづく

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