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蓮沼浩のコラム
第457話:ストレス雑感

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2016年12月29日

「もーいーくつねーるーとー おーしょーうがーつー」
やっぱり12月はすぐに終わってしまいます。不思議だな~。
さてさて、来年はどんな年になるのでしょう。
 
 
 ストレスという言葉があります。この言葉は一日に一回はどこかで聞いたり、目にしたりする機会があるように思いますがどうでしょうか。まあ、とにかくこの言葉は世間一般でよく使われるので、かなり人口に膾炙していると思います。もちろん、畜産の世界でも牛さんにストレスを与えないようにという言葉が使われたりしています。小生もとにかく牛さんにはストレスを与えないようにとよく言っています。

 が、このストレスというものは目に見えないので非常に厄介な代物でもあります。子牛が病気になり治療をするたびに、この子牛にとって何が問題だったのだろうかと考えます。子牛を解剖してひどい第四胃炎や潰瘍や穿孔した痕をみると、何がストレスになっていたのだろうかと考えます。ひどい肺炎をみると、何がこの子牛をここまでひどくしてしまったのだろうかと考えます。職業柄、今まで沢山の解剖をしてきたし、また解剖を行った写真もみてきました。血液検査を行った数も数知れず。病気の根底にはもちろん病原性微生物の存在もあります。でも、何がその牛さんにとって大きなストレスになり、このような状態になってしまったのだろうか?いつも考えていますが、すぐには答えが出てきません。気温? 輸送? 餌の量? 空気? 群の大きさ? それこそ原因はいくらでも考えられそうです。

 子牛の感じるストレスは目に見えません。一度彼らと話がしてみたいです。毎回話すと、大量の文句が出てきて辟易しそうだから、ちょっとでいいです(笑)。ただ、残念ながら彼らと話すことはできません。こればかりはどうしようもない。でもほんの少しでもいいから、彼らの声なき声に耳を傾けることができる獣医師になれたらいいな~と思っています。

 来年も皆さんに1%ぐらいお役に立てるようなコラムを目指しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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