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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−15 「とうもろこしを作ろう(その5)」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年8月5日

 Waxyコーン、BMRコーンの次には、High-Oil とうもろこしです。これは、その名前の通りでハイオイル、すなわちとうもろこしの子実中の油脂含量が一般品種よりも3-4%多く含んでおりエネルギー含量が高い品種です。アメリカでは、あまりサイレージとしての利用は少ないようですが、1度栽培して見たところ面白い傾向がありました。     
 それは、油脂分が多いためだと思うのですが、刈り取り時期になっても熟期が進みにくいようです。わかりやすい言い方だと、刈り取り時期が長い品種ではないかと思いました。油脂分が多くなるので、ややでんぷん含量が少ないのですが、面積がありたくさんのとうもろこしサイレージが作れる条件のところであれば、面白い品種だと思います。また日本では、商社が「NON GMO」のとうもろこしとして輸入しています。しかし、アメリカでは、種子の価格が一般品種よりも20-30ドル程度高い価格になっています。

 4番目は、Leafyコーンと呼ばれる品種です。これは、茎葉の部分が多い品種で、特に子実より上側に多いのが特徴です。(写真参照)を見るとよくわかります。これは、一般品種より葉が多くなる分だけ消化率が高くなるので(2-4%程度)乳牛では、乳量が1-5ポンド(0.4-2.2kg) 多くなるというデーターもあります。しかしその分でんぷん含量が少なくなります。アメリカでは、副産物などをとうもろこしの代替で使っているような場合に進められている品種です。

 一時期日本の種子メーカーのカタログには、ヨーロッパの品種はアメリカよりもサイレージ型であるというのがあり、その一方でアメリカは子実を重視した品種が多いのでグレイン型と表現された時期もありました。最近では、表現が「カロリータイプ」か「茎葉タイプ」と表現されているようです。しかしどのカタログでも牛が食べることでの利用性について書かれているものはないようです。あくまでも栽培面からだけで、そのカタログからは「牛」に対して給与するという考え方はとても読み取れません。
 ここで紹介した4つの品種はまだ日本では販売されていませんが、明確な牛への利用性があります。種苗会社でも、牛の視線からとうもろこしへのアプローチをもっと取り組んでいただきたいものです。
(つづく)

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