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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−14 「とうもろこしを作ろう(その4)」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年7月29日

 Waxyコーンについては、その子実の特徴でしたが、次に紹介するのは葉や茎の部分の消化率を高めた品種です。これは、BMRと言われるもので、BMRとは、Brown mid-ribで「茶色の中肋」と呼ばれてとうもろこしの葉っぱの真ん中が茶色になっている品種で、日本ではソルゴーやスーダンでBMRとついた品種がすでに販売されています。(写真1,2参照)
 この特性は、リグニンの含量が少なく茎の部分の消化性が高い品種です。とうもろこし全体の繊維消化率は8−15%高いものです。アメリカの酪農雑誌である「HORDS DAIRYMAN(写真3)」には乳牛では1日の乳量が4.8 ポンド高くなるという広告が載っています。4.8ポンドとは、kgに換算すると約2.2kg程度増加するということです。それだけ、消化率が高くなると乾物摂取量や利用効率が上がり、糞などの利用が減る可能性もあります。
 話は、違いますが最近の研究では、このリグニンを分解する微生物を反芻動物から分離されて、培養できるようになってきておりサイレージに添加することでリグニンを分解させることも実用化に向けて研究が進んでいます。ただし、この品種の欠点は倒伏に弱いということで種子メーカーは取り組んでいなかったようですが最近ソルゴーやスーダンで販売してきておそらく近いうちに品種が販売される可能性はあります。倒伏に弱いことが欠点ですが、春できるだけ早く播種してやや疎植にして、窒素肥料を控えめにしてやや早めの早生を作って、台風が来る前に収穫できれば作れないことはないと思います。
 もう1つの問題は、価格が一般的な品種よりも高い(70%程度)のが問題です。種子メーカーさんも「逆転の発想」で「倒伏しやすい品種ですが、土つくりから上手にできる、プロの農家の方だけに栽培できる品種」「しかし牛への利用効率は従来よりも10%以上上がります」とでも銘打って、九州南部の2期作ができる地域でも限定試験販売されてみてはいかがでしょうか?興味あるメーカーさん連絡待っていますからよろしく!
(つづく)
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