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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−12 「とうもろこしを作ろう その2」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年7月15日

 とうもろこし栽培では、堆肥を入れて畑の準備をしますが、問題は肥料のことです。一般的には、化成肥料を入れていますが、本来は土壌分析をして肥料を入れるのがいいのですが、実際にはなかなか分析も出来ないのである程度目安をつけて肥培管理を行う必要があります。
 ここで、土壌分析についての問題があることを知っていますか?土壌分析では、サンプリングした時の土壌の状態を分析しますが(当たり前だよ!)このときには、その畑で作られた作物の分析も必要なのです。その理由としては、土壌養分は作物が吸収していくので、栽培後であれば、作物が吸収した残りが土壌に残っていることになります。北海道などでよくあることですが、例えば土壌分析で「カリ」が少ないとなると肥料として「カリ」を多く入れてしまいます。
 しかし、「カリ」は作物がぜいたく吸収しますので、必要以上に吸収してしまう傾向があります。そのために肥料分として「カリ」を多く入れれば入れるほど作物のカリ分が高くなってしまい嗜好性の悪いものになってしまいます。
 少し専門的な話ですが、「カリ」と「窒素」は非常に仲がよくてともにぜいたく吸収する養分です。ところが、「カリ」と「窒素」と反対の関係にあるのが「カルシウム」と「マグネシウム」です。この「カルシウム」と「マグネシウム」は「カリ」と「窒素」が吸収されればされるほど、逆に吸収されなくなる作用があります。いわゆる拮抗作用と呼ばれています。このような状態が進んだ畑を土壌分析すると、「カリ」が不足して「カルシウム」「マグネシウム」が多いようなことが起こってしまいます。そのままだと、肥料では「カリ」を多くやりすぎてしまうことになります。しかし、作物には多くの「カリ」が含まれているという矛盾になります。
 この矛盾を解決するためには、土壌と作物の分析がともに必要になりますが、実際にはなかなか出来ないのが実情です。
(つづく)
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