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ゲストのコラム
「幸せな牛飼いとなるための10カ条 最終回 「繁殖肥育一貫経営をめざそう2」」

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2008年7月1日

 繁殖農家さんが肥育を始めるのに、無理をする必要はありません。例えば、初産で産まれた子牛だけを肥育するとか、生産子牛の1割を肥育に回す目標を立てて取り組んだらどうでしょう。知り合いの農家さんは、繁殖経営から完全に一貫経営に移行するまで、10年かかったとおっしゃていました。完全な一貫経営は遠い目標としても、一部肥育を導入することは、可能だと思います。
 肥育することで見えてくることがあります。それはどういう子牛を作れば、儲かる枝肉になるのかが分かってくることです。そのことは、結果的に繁殖経営の子牛つくりにも、好結果をもたらします。最終生産物である枝肉で良い結果を出さなければ、肥育素牛としては失格です。自ら肥育を手がけることで、購買者がどういう素牛を望んでいるのかが見えてきます。
 繁殖農家だけが儲かってもダメだし、肥育農家だけが儲かってもダメです。双方が折り合いのつく素牛を供給することで、お互い幸せになれるのです。
 とりあえず、自分の素牛を購買してくれた肥育農家さんのところへ行って、自分の牛がどういう肥育牛になっているのか見に行きませんか。交流することで得ることが多いと思いますし、肥育の話を聞くことで肥育を始めるきっかけになることを期待します。
 この掲示板にもよく投稿されている、カドワキ牧場さんは繁殖肥育一貫経営で、「カドワキ牛肉を消費者に届けることが将来目標だ」とおっしゃていました。自分で生産したお肉を直接消費者に届けられたら、どんなに張り合いが出るでしょう。本当の究極は、消費者への提供でしょうか。

著:胆振普及センター 出雲将之

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