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和牛は優秀な雌牛がいて、それに優良種有牛を交配し仔牛をとり、それを疾病や事故なく育て家畜市場に出荷して利益を得ます。この一連の過程の一つでもうまくいかないと、市場での評価は下がります。 私が普及員として勤めさせてもらった、新ひだか町静内では、情熱を持った人の存在が大きかったと言えます。まず生産者の渡辺夫妻が自費で何回も宮崎、鹿児島まで飛んで、素牛導入の道筋をつけ(それも妊娠牛で)てくれました。それによって、安平や金幸、平茂勝など毎年100頭近くの優良雌牛が導入されました。 役場やJAはそれに、○○円の導入助成をして後押しすると同時に指導部会を立ち上げ、和牛が初めての生産者を支援しました。指導部会の中に田原口先生を始めとする共済獣医師や家畜保健衛生所、農業改良普及センター、そして事務局として企画、運営に汗を流したJAの坂下係長がそれぞれの立場で一生懸命農家指導に当たりました。JAには和牛専属の指導員を配置し、市場前の牛体手入れや親牛の除角などきめ細かい対応を行える体制が作られました。 静内がここまで伸びたのも、牛の導入や九州とのネットワーク作り、それに役場やJAとの交渉など、渡辺さんが静内の将来のためにずいぶん頑張ってくれたことが大きいと私は思っています。私自身そういう中で仕事ができ、結果を残せたことを誇りに思います。
つづく 著:胆振普及センター 出雲将之 |