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ゲストのコラム
「幸せな牛飼いとなるための10カ条−3 「和牛は女性の感性で扱う」」

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2008年4月4日

 農家さんを見ていると、その家の母さんが牛飼いに熱心であればあるほど、良い経営をされているように思います。和牛の場合、人の子育てと同じ感性で管理することがうまくいくコツのような気がします。
 和牛はホルスタインなどと違って繊細な生き物です。優しく接すれば人になつくし、乱暴に扱えば、次からは肩を震わせびくついて寄って来なくなります。男性はどちらかというと気の短い人が多く、言うことを聞かないとすぐにぶったり、たたいたりしようとしますが、和牛にこういう行為は禁物です。
 私も何千頭という牛に接してきましたが、初対面でも「べーべー」と声をかけながら穏やかに接すると、最初は警戒していても、そのうち向こうから寄ってくるようになります。追い回して近づこうとしても、まず駄目です。
 女性が愛情をもって優しく接している農家さんほど、子牛さんは元気だし繁殖牛は穏やかです。仕事上、地域の和牛改良組合ともずいぶんお付き合いしてきましたが、女性部の取組が熱心なところほど優秀な和牛産地となっています。和牛の場合、女性の役割が非常に大きいと言えます。経営における位置づけが、どちらかというと低くなりがちな女性を大事にすることが、和牛経営成功の秘訣だと思います。
 女性の専用口座を作り、売り上げの5%を(1頭60万円でも3万円が口座に)販売するたびに自由に使える小遣いとして、振り込む取組を是非お奨めします。
 女性のやる気を引き出すことが、和牛経営を成功に導きます。

つづく
著:胆振普及センター 出雲将之

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