(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−8 「放牧しようか その2」 (東京都 村田六蔵)」

コラム一覧に戻る

2008年3月4日

 この蹄耕法は、どこでも出来る方法ですが、播く種子の量を多くすることが必要です。これは、機械での播種ではないので、播きむらがあったりしますし、もともと放牧させることは、その1で書いたように短い草を食べさせることなので、草丈を伸ばすのではなく、草の株数(スタンド数:草の面積あたりの株数)を多くすることが必要ですから種子の量を多く播くことをして下さい。
 種子は、春播きでミレット、ヒエ類、秋播きでイタリアン、ペレニアルなどでその他には、春播きでは、バーミューダーグラス、バヒアグラス、センチピートグラスなどもありますが初期成育が悪いことと、やや価格が高めです。秋播きでは、メドーフェスクやオーチャードもありますから、これらを混播してもよいかもしれません。それぞれ安いのでよいと思いますが(いわゆる普通種)、どうしても考えたいとすれば葉が多いタイプを選ぶことを進めます。茎が多いのは、比較的牛から視ると、リグニンが多くて消化性に劣りますから、葉が多い方が放牧には向いています。
 但し、ペレニアルなどのライグラスでは、エンドファイトには注意して下さい。エンドファイトは、芝生向けに作られた品種に病気の抵抗性をつけるために菌を感染させたものですから、牛には有害ですので、購入する際には、エンドファイトフリーの品種を指定して下さいね。(種子さんで聞けばわかりますから)
芝生向けの品種は決して使わないことです。

* * * * * * * * * * * * * * * * *

 放牧を始めるとわかりますが、糞をしたり尿をしたあとの草を食べなくなることがあります。この食べ残しをそのままにしておくと、いわゆる不食草となってしまい、放牧地が荒れてしまいます。
 そこで、このことをニュージーランドの研究者に聞くと、まずその放牧地に、今放している牛よりも小さな牛を入れなさい、それでもだめであれば、羊を入れなさいと言われました。でも羊はいないので、どうしたらよいか教えてくれと言うと、まずは、食べていない草を刈り倒して、半日程度乾燥させておく。その次には、腹を空かせた牛(半日以上何もえさをやらない牛のことだそうで、出来れば育成牛がよいとのことです)をその放牧地に放しなさいといことでした。実際に、放牧地を掃除刈りして、やってみると結構腹ペコ牛が食べてくれてきれいになりました。
 そのあとは、どうしても糞などが固まってしまう場合には、草地にパスチャーハローをかけて糞を散らしてやることも必要です。パスチャーハローとは、トラクターの後ろに、チェーンを何本かつけて走ったりするだけでも十分です。実は、このような管理を上手にすることで、牛が食べる草量が違ってきます。あまり伸び過ぎたり、食べない草が増えたときにはやってみてください。
(つづく)

|