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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−4 「周りをよく見ると その4」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年2月5日

 クズやヤマハギを牛はなぜ好んで食べるのでしょうか?
 不思議なことですが、牛については、良くわかっていないことが多いのです。嗜好性が良いと、いわゆる乾物摂取量が多くなる(たくさん食べるということです)ために肥育牛などでは、枝肉重量が大きくなります。
 大まかな目安ですが、食べたエサ(この場合は配合飼料)の10%が枝肉になると言われています。(4,000㎏食べると、400㎏位の枝肉重量になる)そのためには、食い止りが起きにくいエサがあれば肥育屋さんはかなり楽な管理ができますよね!
 これらの要素を今解中でもう少し時間がかかりますが、もしかして嗜好性を向上させることができる魔法のエサが近い将来作れるかもしれませんね!

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 あるルーメン微生物を研究している先生と話をしていると、ルーメン微生物の培養する際にその培養する培地にクズを葉・茎・葉柄をそれぞれミキサーで粉砕してその抽出液を培地に使うと非常に培養がうまく行っているという話を聞きました。
 実は、ルーメン微生物の活性は、乾草を食べるよりも、放牧草や青刈り生草を食べさせた方が活性が高まることがわかっています。従来、この理由はビタミン含量が多いとか、水溶性成分があるからとか言われていましたが、どうもそれだけではないようです。
 実は、最近牛を支配しているのはルーメン微生物ではないかと考えています。すなわち、ルーメン微生物の好みによって牛は食べるものを決めている(決めさせられている?)のではないかな?
 実は、土壌についても同様で、自給飼料を作ることも、堆肥を作ることも、そして牛を飼うこともすべて微生物の影響を受けていることは間違いでしょう。

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