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笹崎直哉のコラム
胎盤停滞について ③

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2016年11月14日

 皆様お疲れ様です。さてさて11月も中旬を迎えましたね。寒くなってきました。最近は診療で出水市内を走ることが多いのですが、車窓から眺める鶴の姿に大分癒されております!(^^)!。出水市は世界中の鶴が飛来する地として有名ですし、まだまだこれから時期は色んな種類の鶴が見れるとのことで楽しみです(^^)/。

 前回は4つの治療パターンについて説明しましたが、それぞれ詳しく話を進めていきますね。(前回お伝え忘れていましたが、お母さん牛が排出した胎盤はなるべく部屋の外に出してあげるようにして下さい。残してしまうと衛生的にも悪いですし、お母さん牛が誤って踏んでしまい滑って、転倒事故を招いたという例を農家さんからお聞きしておりますので、、、泣)

①胎盤が自然に排出されるまで無処置のまま放置。排出後に抗生剤を子宮内に投与する方法
・・・ポイントとしては、陰門から垂れ下がった胎盤はその都度、軽く後方に引いた状態を保ち、陰門部で切断して取り除くことです。胎盤全体の排出が確認できたら、抗生物質(テトラサイクリン系など)を投与します。

②陰門からぶら下がっている胎盤を、手で軽く引き、胎盤の剥離を促す方法
・・・数分間試みて、排出が難しいようであれば、1~2日後に再チャレンジします。①の方法より胎盤の排出は早まると言われています。排出後は同じように子宮内に抗生剤を投与します。

④子宮収縮作用をもつ薬剤を投与し、胎盤の排出を促す方法
・・・オキシトシン、PGF2α、エストロジェン、カルシウムなどの投与が治療に用いられますが、実際のところ効果は未だに明らかになっていません。先日北海道でお勤めされているベテランの獣医さんにお聞きしたところ、分娩後数時間以内にオキシトシン50IUの筋肉内、あるいは皮下注射を実施すると効果が期待できると教えてくれました。

長くなってしまいましたので③の治療法は次回に説明いたしますね。

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