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笹崎直哉のコラム
胎盤停滞について ②

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2016年11月7日

 皆様お疲れ様です。突然ですが、最近私が診療時に愛用しているアイテムがあります。ご存知の方もいらっしゃると思いますが「アームカバー」です!(^^)!。これは、わが社の卒業生であります伏見康生獣医師が考案してくれたアイテムです。タイヤのチューブを丸く切って、さらにその中心部に穴をあけて、、、完成です。

 最近では子宮洗浄、中耳炎における耳洗浄、病理解剖でよく使わせて頂きますが、直検手袋を装着した際に、誰もが経験するあの“ズレ”を未然に防ぎ、効率的に処置を行うことができるので、お勧めです(^_-)-

 それでは前回のコラムの続きに入ります。胎盤停滞真っ只中のお母さん牛を発見し、いざ治療だ!!

 となる前にポイントとなることがあります。お母さん牛の状態です。胎盤停滞によってお母さん牛が全身症状(体温の上昇など)を伴っているかどうかが重要です。これによって治療方針を変更することがありますので要注意です。これを念頭に置いてもらった上で、治療方法として主に4つのパターンがあります。

①胎盤が自然に排出されるまで無処置のまま放置。排出後に抗生剤を子宮内に投与する方法
②陰門からぶら下がっている胎盤を、手で軽く引き、胎盤の剥離を促す方法
③手袋を装着後、子宮内に手を挿入し、胎盤を剥離する方法(胎盤の用手剥離)
④子宮収縮作用をもつ薬剤を投与し、胎盤の排出を促す方法

 詳しい治療の説明は次回に回させてもらいますが、牛の体温が上昇している場合や陰部~産動が炎症反応を起こしており、腫れて熱を持っているときは③の方法は避けてください。細菌感染が進むことにより、血中に毒素が入り込んでお母さん牛の症状悪化を招いてしまいますので、充分注意してくださいませm(__)m。

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