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ゲストのコラム
秘境の郷の牛飼いだより ~第7回~

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2016年11月5日

⑦ 椎葉村の畜産の現状(補助金)

前回まで色々な補助金の紹介をしましたが、今回も続きです。

○枝肉調査(母牛の育種化調査)事業補助金
 椎葉村は繁殖経営主体ですから、子牛は100%村外に購入されていきます。
また管内でも肥育農家が少ないために、所属している延岡の市場に出される子牛の70%は郡外に買われていくので、その子牛がどういう肉になったか?母牛がどれだけの育種価があるのか? 知る由もありません。
 たまたま、県内で肥育されたものは枝肉の結果が分かり、母牛の育種化が判明しますが、県外に行った牛の成績はなかなか解りません。肥育農家さんも、良かった牛はなかなか教えたくないですよね。そうして翌年にその牛の弟や妹を黙って買っている人は多いと思います。
 椎葉村では県外に行った牛の成績を知りたくて、追跡調査を行っています。椎葉の牛を買ってくれた肥育農家さんと契約をして、枝肉の成績をフィードバックしてくれたら、1頭当たり、2万円を補助しています。このことにより母牛の育種価がかなり判明していて、他町村より判明牛は多くいます。

 そのことにより、宮崎県の種雄牛作成のための基礎雌牛も多くいますし、昨年は育種価がかなり高い牛から種雄牛が誕生しました。私の家の近くで繁殖経営をしている、牧友舎(椎葉幸司君)生産の「旭幸福」です。
 また、今年も近所の農家から種雄牛候補として直検に入っている牛がいます。飼育頭数の少ない椎葉村から2頭も続けて種雄牛が誕生するなんて、素晴らしいことです。
 これまで宮崎で大活躍してきた「安平」、「美穂の国」や現在、活躍中の「耕富士」みたいな種雄牛になってもらいたいものです。

○事故率低減対策事業補助金
 子牛の事故率を下げるための補助金制度です。冬場の分娩は生後間もない子牛の事故が多く発生します。標高の高い椎葉村は冬の寒さが厳しいので色々と防寒対策が必要です。そのため、子牛の防寒対策として導入する、カーボンヒーターや子牛の牛衣、カウハッチ等の導入に対して、2分の1の補助をしています。
 この事業のおかげで子牛の風邪や下痢がずいぶん減りましたし、肺炎等で死亡する子牛が少なくなりました。

つづく

宮崎県椎葉村 椎葉 勇

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