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数面麻子のコラム
第146話:アレルギーについて考えてみる④

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2016年10月7日

 本日はⅡ型アレルギーについてみていきましょう。人間ではウイルス性肝炎が良く知られています。このアレルギーでは病原体を攻撃するつもりが、自分の細胞を攻撃してしまうということで発生します。B・C型肝炎もウイルスを攻撃するつもりが、自分の肝細胞を攻撃してしまうのです。牛さんでは、ペニシリンに対するアレルギーがⅡ型の代表かもしれません。治療や去勢の際にペニシリンを注射した後のアレルギー反応を1度は見たことがあるのではないでしょうか。・・他には輸血の血液が合わなかった場合もⅡ型アレルギーの反応が見られることがあります。

 このアレルギー機序としては、IgGという免疫グロブリンが、ペニシリンなどの抗原となる物質と結合した細胞に付着し、その細胞に反応した白血球が細胞を敵だと認識して攻撃してしまうことにより発症します。このアレルギーの有無を調べる試験があるのですが、牛さんではなかなかそこまで検査はできませんので、注射した後にアレルギー反応が見られたら耳標等に必ず印をつけるようにして、もう1度打ってしまうことのないようにしましょう。

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