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数面麻子のコラム
第145話:アレルギーについて考えてみる③

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2016年9月30日

 I型アレルギーの症状がひどいものがアナフィラキシーショックです。肥満細胞から放出されるヒスタミンは血管を拡張させるため、血圧の低下をひき起こします。蜂に1度刺されたら、2度目さされないよう注意しなければならないのは、このショックが心配されるからです。1度目に刺された後、体内では蜂毒に対する抗体が作られます。体の中では「蜂毒は敵」と記憶されるので、次にまた体内に毒が入ってきた場合は、「また来たぞ!」ということで毒に対する攻撃が1回目より激しく行われるのです。この攻撃が激しくなりすぎるとショック症状が現れます。このショックはもちろん全員に現れるわけではありませんが、症状が急激に進むため用心するに越したことはありません。

 このアナフィラキシーショックは血管拡張が起こるため、初期では体表が温かくなります。そのため別名ウォームショックとも呼ばれます。同じくウォームショックの1つとしてエンドトキシンショックがあります。名前の通りエンドトキシンにより引き起こされるショックで、こちらはアレルギー反応ではありません。細菌感染が血液中にまで及び、その細菌(グラム陰性菌)から毒素が放出されることで起こります。

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