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数面麻子のコラム
第144話:アレルギーについて考えてみる②

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2016年9月9日

 アレルギーと一言でいっても様々なものがあります。アレルギーは発生機序の違いからⅠ~Ⅳ型に分類されています。ではまず、順番にⅠ型から見てみることにしましょう。

 体内にアレルゲンが入ってくると、免疫グロブリンがそれを察知して肥満細胞や好塩基球に結合します。その結合体にアレルゲンがくっつくと細胞からヒスタミンやセロトニンなどの炎症を引き起こす物質が出てきます。また、肥満細胞から呼び寄せられた好酸球が炎症部に集められ、好酸球から顆粒が分泌されることでさらに炎症は大きくなり・・というように体内ではアレルゲンに対しての激しい戦闘が繰り広げられます。このⅠ型に分類されているのは人間でいうと花粉症や気管支喘息などです。この反応はアレルゲンが体内に入るとすぐに生じる即時型で、血液検査では好酸球の増加が見られます。

 ところで、このⅠ型のアレルギー反応は一部の寄生虫が感染した時の免疫反応に似ているのです。最近アレルギーを持つ人が増えた原因として、寄生虫に感染することがほとんどなくなり、寄生虫の代わりに今まで反応しなかった物質に過剰に反応するようになっている、という話もあります。

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