2016年9月27日 先日、休日を利用して実家の墓参りへ。 さて、分娩予定日が近づいた母牛の食欲不振で着目すべき検査項目とは何でしょうか。 コチラが患畜の血液検査です 正解は Ca(血中カルシウム濃度)でした。 普段は黒毛和種しか診察しないのですが、健康な母牛であれば9.0 mg/dL以上はあってほしいところ。ところがこの母牛は7.4 mg/dLという非常に低い数値をたたき出していたのです。「低カルシウム状態かどうか」は聴診や観察だけではなかなか見つけることができません。科学技術の発達がもたらした血液検査の恩恵をすさまじく受けることができました。 では、なぜ分娩前の母牛は低カルシウム状態になりやすいのでしょうか。 分娩前は子牛の骨格が急激なスピードで形成されていきます。母体の血液中のカルシウムは子牛の体をつくるために、どんどん消費されていくのです。さらに、生まれてくる子牛のために、母乳も作っておかなければいけません。こうして母体のカルシウム消費量が増えるために、通常保っておきたい数値を下回ってしまうのです。 出産前からすでにお母さん牛は自分の体にムチ打って子どもために頑張っているのです。 なぜ低カルシウム状態で食欲が減退するのか、血液検査で見つかった他の異常値についてはまた次回 つづく 前の記事 第103話「こんなときの血液検査②~食欲がないPart 2~」 | 次の記事 第105話「いのちから学ぶこと」 |