小さな農場でふつう起こっていることが、嫁の問題があります。
農家の跡とりの息子が運良く嫁をもらえたとき、どんなことが起っているでしょうか。
ふつうは、嫁は農家出身以外が多いので、農場のことや牛のことは結婚するまで何も知りません。結婚してしばらくすると子供が生まれるので数年は子育てに専念して農場のことはしません。2人か3人産んだ後で子供が小学校に行き出した頃になると、だいぶ手が離れて農場を手伝うことになります。
始めは、なんでかわからないけど、子牛の哺乳を担当します。そのうち慣れてきたら搾乳や経理、繁殖などにも関わっていきます。
うちの近所の酪農家では、「若嫁会」があります。勉強会をしたり、視察に行ったり、飲み方をしたりしています。何が盛り上がるかというと、やはり飲み会のようです。旦那へのグチや、嫁舅姑のこと、子供のことなど賑やかしく大盛り上がりです。
そこで、かなり多くの嫁が農場や家庭に不満を持っています。
飲み会で聞き耳を立てると、
「ダンナも舅姑も自分を農場の家政婦だと思っている」
「農場で何をしたらいいかわからない」
「農場の仕事を提案しても聞いてくれない」
「ダンナは自分の味方になってくれない」
「とにかく、みんな自分の話を聞いてくれない」
こんなグチは、日本中どこでもどの農場でも聞かれます。
では、嫁はどうすればいいのでしょう。何ができるのでしょうか。
まず、一番は「あきらめる」ことです。
「え〜〜、そんな、いい話が聞けるのかと期待していたのに!そんな話かよ!」というこえが聞こえてきそうですが、やはり、「あきらめる」ことなんです。
相手に期待するから、期待がはずれた時に、「落ち込む」し「腹が立つ」のです。舅、姑から嫌なことを言われても、「ああ、これは性格なんだから、仕方がない!」と早く諦めるのです。
相手に対してマイナスの感情をつかまないで、やり過ごすのです。相手に対して悪い感情を持つと、表情に表れます。人間のコミュンケーションは、ノンバーバルといって言葉以外で伝わる部分が80%あるといわれています。
表情や目の表情、言葉のニュアンス、体の動き、顔の表現などで相手に伝わります。だから、悪い感情を持っていると相手はそれを感じます。
あなたが自分を嫌っていると相手は感じて、さらに悪い関係になります。
嫌なことを言われても、避けずに礼儀正しく明るく挨拶をする。
これができたら最高です。
実際は、私もなかなかできません。嫌なことを言われると、つい「ムッカ」となったり「カチン」ときて、厭味を一つでも言いたくなるのです。言わなくても態度に出てしまうのです。まだ修行途中の身です。
でも、正攻法でいけば、やはり「嫌なことを言われても、避けずに礼儀正しく明るく挨拶をする。」なのでしょうね。できなくても、これを頭のどこかに入れていれば、厭味を言い返すのを「グッ!」と飲み込んで、「ニコッ!」としましょう。
でも、これは心を変えない限り、絶対にうまくいきません。表面だけ、テクニックで取り繕おうとしても、相手は感じます。
経営者が従業員に対して持たなければいけないと言われることが4つあります。それは、「忍耐」「愛情」「理解」「諦め」です。
これは、農家の嫁にとっても大事な4つだと思います。
ほんとは、嫁の周りの人に、持ってもらいたいものなのですが。
「うちのバカ息子と結婚してくれて、おまけにかわいい孫を二人も産んでくれた。」と思えば、粗末に扱えないのです。
これでは、「どないすんねん嫁のグチ」のタイトル倒れとなりそうなので。
できるかできないかは、農場や家庭によって違いますが、できる可能性がありましたら、次の方法でということで。
(つづく (著:山本浩通))