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笹崎直哉のコラム
なに?ミルクが出荷できない?エピソード3

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2016年9月12日

 皆様お疲れ様です。先日会社から貴重な連休をいただき、東京でのダンスイベントの鑑賞とダンスバトルの出場をしてきました(写真1)。関東はダンスが盛んですのでとても勉強になり、良い刺激になりました。そしてダンスバトルというと、、、トーナメント戦で撃沈(泣)。やはり、まだまだ私の努力が足りませんでした。無念な思いを残しつつ、東京を発ちました(泣)。うーん、やはり悔しい、、、
 
 
では前回のコラムの続きに入ります。

 植物は施肥されている土壌において、肥料の三大栄養素の内の一つである窒素をアンモニアまたは硝酸態窒素(硝酸塩)として吸収します(動物が排泄する尿素は重要な肥料中の窒素源です)。吸収後はタンパク質を作り、葉っぱや茎のもとになります。

もし窒素が不足している場合は、葉が変色して枯れたり、茎の生長が鈍くなります。
窒素が過剰な場合には葉や茎が伸びすぎて、花や実がつきにくくなってしまいます。

 本題でポイントとなるのが後者の窒素過剰時です。ではどういうときに過剰状態になるのでしょうか?施肥量が多い場合はもちろんですが、天候に着眼して考えると、降雨後の晴天で急激に吸収量が増加した直後などには、硝酸態のまま窒素が植物に残存してしまうことがあります。
このような植物を摂取すると、牛さんが第一胃で大切に飼っている微生物達が働きだして硝酸態窒素が亜硝酸態に還元されてから、胃壁などから吸収されます(還元という難しい言葉を用いてしまい申し訳ありません、ここでの意味は酸素を奪われることです)。
そして血中に動員されると亜硝酸イオンとなり、奪われた酸素を奪い返すぞ!!と、いつも血中の酸素を運んでくれているヘモグロビンを狙って戦います。
その結果、ヘモグロビンは酸素を運ぶ能力を失った、メトヘモグロビンになってしまいます。そうすると呼吸して取り込んだ酸素は体内で運搬されず、牛さんは貧血状態になってしまうのです。この病態を(亜)硝酸塩中毒と呼びます。このときの肉眼上で採血した際の血液はチョコレート色を呈していることがほとんどです。この中毒は蓮沼所長のコラム「第60話 輸血番外編 亜硝酸塩中毒!!」で実体験をもとに詳しく紹介されています。

 牧場実習中でのケースでは、①硝酸態窒素を多く含んだ植物は苦いぞ!!と大学の先生に習ったこと ②場長が台風の到来で豪雨になる日が多かったと教えてくれたこと(台風が過ぎた翌日は晴天が多いですもんね)の2点から牛さんが(亜)硝酸塩中毒を発症しかけているのでは?と予想しました。しかし実際に濃度を測っていないので確定診断には至りませんが、、、

 話が長くなりましたが、次回も(亜)硝酸塩中毒についてまとめていきます。よろしくお願いします。

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