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蓮沼浩のコラム
「第60話 「輸血番外編 亜硝酸塩中毒!!」」

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2007年11月15日

 事務所に納得のいかないまま帰ってきて桐野先生と一緒に血液を見ると桐野先生は「血の色は完全におかしいです。」と即答。あんなに小生は悩んでいたのに・・・(笑)。そして血液を遠心分離するとPCVは正常。つまり出血多量などの貧血ではない。では一体何だろう?さすがに鈍感な小生でもこれは何かの中毒だと気がつき「臨床獣医」をひもといて調べてみるとあるではないですか!臨床症状や病気の経過もそっくりそのまま!もうこれしかない!ドンぴしゃり!という病気がありました。その病気の名前はというと・・・

「亜硝酸(塩)中毒」 

超有名な疾病であるにもかかわらず、はずかしながら小生今までの臨床経験で亜硝酸(塩)中毒に遭遇したことが一度もありませんでした。おまけに病名も硝酸塩中毒と“亜”を抜かして覚えていました。強烈な臨床症状だったのでもう次は悩むことなく怪しいぜと判断がつくと思います。すぐさま農家さんに連絡してもう一度粗飼料を聞いてみると今年作った「夏乾草」という種類のロールを与えているとのこと。しかし使い始めたのはほんの3日前であり、色も状態もおかしくないし、そんなに与えていないからおそらくそれではないのでは?という回答。このときはまだ診断が確定していなかったのでちょっと自信が無かったのですがとにかく給与を中止してもらい緊急的に粗飼料はワラにしてもらいました。家に帰って「牛の臨床」に書いてあるcooking testなるものをはじめてやってみたのですがやり方が悪かったのかうまくいかずに血液がガチガチのグダグダになりわけがわからなくなりました。まあ、簡単に言えば失敗したんですね。確定診断できずに就寝。

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