(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
「第61話 「輸血番外編 よかったのだけれど・・・」」

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2007年11月22日

 翌朝一番に牧場へ行くと、前日治療した牛さんは劇的に症状が回復。ひとまずよかった、よかった。しかし、峠は越えたけどまだ本調子ではなかったので治療を継続する。真っ白だった可視粘膜はピンク色になり昨日の状態はウソのよう。そこで血液を見てみると・・・・お、正常だ!ドナーの血液は・・・・正常!!それではあと1頭の牛さんの血液は・・・・正常!!!
あれれ、もしかしたら昨日はやっぱり目の錯覚で特に問題は無かったのでは??農家さんもまだ「亜硝酸塩中毒」は違うのでは?という感じ。小生も昨晩の失敗により確定診断できていないし、違うかもしれない・・・と未だに疑心暗鬼。とにかく普及所にお願いして硝酸塩濃度を調べてもらうことに。そしてついに結果がでました。

「硝酸塩濃度 3164ppm」

わおっ!!これは高い!!やっぱり硝酸塩が問題だったんだ!診断がついたので喜び勇んで農家さんに「やっぱり亜硝酸塩中毒だったんですね!この草は与えないでくださいね。」と説明。でも農家さんは浮かない顔。あれれ?どうしたんだろう。母牛も治ったし、原因もわかったのに?
すると農家さんが「先生、このロールどうしよう、70個ほどあるんだけど・・・」と悲しそうに話します。
小生沈黙。そ、そうだよな・・・そういう問題があるんだよな・・・。原因がわかってすぐに診断がついたことはいいのだけれど、それでも悲しい現実があるんだよな・・・。現在このロールはラップした状態で安置されていますが何か良い方法がある人は教えていただけたら幸いです。絶望的ですけど・・・(涙)。

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