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松本大策のコラム
ハチのお話し

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2016年8月31日

 今年の気候は本当におかしいですね、と毎年口にするようになった気がしますが、それにしても九州方面には台風がまったく来ることがなく、関東から北海道にかけて台風の被害が大きく、日本の食の生産地帯もかなり影響を受けそうです。陰ながら応援しています。

 ところで、今年もスズメバチやアシナガバチが盛んに巣作りをする季節になりました。この季節は、ハチが自分の巣を護るために大変攻撃的になります。知らずに近づいただけで大群に襲われることがあります。特にスズメバチは刺すだけではなく、人間の眼に向かって毒液を飛ばしてくることもあります。

 昔は、「ハチに刺されたらションベンをかけろ」と言われていましたが、これはまったく効果がありません。以前はハチの毒はアリと同じ「蟻酸」という酸だと思われていました。ですから、オシッコの中に含まれている「アンモニア」で中和すれば良いと思われていたのです。

 でも、実はハチの毒は、毒蛇の毒と同じ「異種タンパク」というヤツで、アナフィラキシーショックという免疫反応を起こして呼吸困難に陥ったりするのです。免疫反応の特徴として、1回目よりも2回目以降の方が、重度の反応が出ますし、アナフィラキシーというと、数時間以内に反応が出ると思っていらっしゃる方が多いのですが、実は2週間ほどしてからはじめて反応が出ることもあるのです。

 ですから、蜂には、まず刺されないこと、次に刺されたら必ず病院に行くこと、を気がけてください。と言われても刺されないというのは、先にこちらが気がつかないと難しいですけどね。

 僕は近所の人から、蜂の巣退治を依頼されることが多いのですが、大抵は闇討ちにして、スプレー式接着剤で固めちゃいます。

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