私なんかは、「がんばって、片付けよう!」とか「時間があったら片付けよう!」などと言っても、一回きりなのです。農場でも、ミーティングのときに、「まず、事務所の片付け!」と決めても、それをどう仕組みにするのかがなければ、ほとんど実現しません。
会社や工場、レストラン、お店などでは、当然のようにその日の始業のときに、掃除があります。掃除から始まって、日常の仕事に取り掛かります。多くの農場では、こんなことはしません。だから散らかっているのです。
最近は、従業員を使っている大きな農場では、仕事の始まりは掃除だと決めているところもあります。そんな農場はきれいに片付いています。
つまり、一日のいつに掃除をするのかを決めて、日常作業の中に入れない限り無理なのです。
休憩のお茶を飲む時間の前であったり、その日の作業の最後であったり、一日の作業の始まる前であったり、その農場の都合のいい時間を決めてしまうのです。それを農場長の権限で、みんなに徹底してもらう。この手順がなければ無理です。
一般に家が一番片付くのは「家庭訪問」のときです。学校の先生が家に来るとなると、普段あまり掃除をしない母親も、珍しく掃除をします。つまり、他人の目があると、「散らかっていると恥ずかしい」と感じて掃除をするのです。
これを利用した仕組みは、近所の酪農家で「整理整頓グループ」を作って、月に2,3回、みんなで整理整頓チェックに回るのです。事務所、事務所まわり、牛舎、パーラー、飼料倉庫、機械置き場、便所などのチェックポイントをみんなに点数をつけてもらうのです。
そうすると、人の目が入ってくるし、点数で他の人には負けたくないので、「片付けよう」という気になります。
「整理整頓するぞ!」という掛け声だけでは、まず無理です。
どのように整理整頓を仕組み化するのか。これが大事なポイントです。
(つづく)