農場が片付いているか、家が片付いているかというのは、今まで、本人の性格の問題だと私は思っていました。「あの人は神経質だから、少し散らかっても気になって、片付ける。そんな性格なんだ」確かに本人の性格なのですが、それで農場や工場の成績が左右されていたのです。私は、それは変えようもないと思っていたし、変える必要も感じなかったのです。
農場を回ってみると、成績のよい農場は、牛舎が片付いているのです。繁殖成績も片付いているので、「この牛の分娩日は?」とか「最後の受精日は?」とか聴いてもすぐに答えが返ってきます。そんな農場では、当然、受精していない牛や妊娠検査していない牛がわかっているので、獣医師に頼んで治療や妊娠鑑定をします。まめにするので、成績も安定します。牛舎が片付いているところは、他の管理も片付いているので、エサの腐れを食わせたり、病気の牛を見逃したりが少なくなるので、農場全体の成績が上がります。
以前は「成績のよいところは、農場が片付いているんだ」と思っていました。
ところが実は、「農場が片付いているところが、成績がよかった」のです。
今までは、片付ける片付けないは、性格の問題で、これは変えようもないし、これを変える方法もわからなかったのです。
「できれば、片付けよう」とか「本を読んだら整理整頓が重要だ!と書いてあった」とか、農場を視察してもらった技術者から、「整理整頓がいるよ!」とか「セミナーに行ったらどこかの頭のハゲた獣医師が、整理整頓すると農場は儲かる」とか言われて、片づけをするのですが、
1回片付けてそれっきりになるので、2週間もすると、また、散らかっているのです。
性格が、よく言えば「おおらか」、悪く言えば「いいかげん」な人は、どうすればいいのでしょうか?私もどちらかと言えば「いいかげん」なほうなのですが、そんな人が片づけをするには、「片付ける仕組み」がいるのです。
(つづく)