(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
数面麻子のコラム
第140話:改めて、初乳②

コラム一覧に戻る

2016年8月12日

 生まれた直後に子牛に初乳製剤を飲ませる、という方がいらっしゃるかもしれませんが、それは少し待った方が良いかもしれません。もちろん免疫グロブリンの吸収力は生まれてから時間が経つほど弱くなっていきますが、子牛側が吸収できるようにコンディションを整えるにも少々時間が必要なのです。生まれてすぐの子牛の第4胃にはまだ羊水がたくさん残った状態です。この羊水が移動して空にならないとせっかく初乳を入れてもきちんと吸収されないのです。また、子牛が低酸素状態でも初乳の投与の効果が薄れてしまう可能性があります。初乳成分をしっかり吸収できるコンディションに整えてあげるためにも、母牛のリッキングは非常に重要な役目を果たします。リッキングにより、子牛は全身のマッサージを受けることができます。このマッサージが子牛の消化管を活動させることで胎便の排出ができ、また血液の循環が良くなることで立ち上がる活力が出てきます。子牛が自ら立ち上がると、初乳が飲める準備ができたサインです。

|