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ゲストのコラム
「いい農場の秘密こっそり教えます!5〜@なかなか続かない整理整頓を続けるには1〜」

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2007年3月13日

 永守社長の工場では、社員は全員必ず1年間は便所の掃除をします。それも素手でします。
便器をきれいに磨き上げることを毎日すると、汚い使い方をする人がいると腹立たしくなります。そして、きれいにするのは大変なので、なるべく汚れないように使うようになります。それが工場内のみんながその行動に出ると、便器が汚れることがありません。
この習慣が身に付くと、トイレだけでなく、工場や事務所を汚したり、散らかしたりする者もいなくなります。これこそが 「品質管理の原点」だと永守社長は言います。

「汚れたからきれいにする。つまり、不良品がでたら直せばいいという気持ちから最初から汚さないようにする。すなわち、お互いに注意して不良品を出さないように気をつける。
こうした風土をつくっていかなければ、いつまでたっても不良品は減らないし、なくなりもしない。」と永守社長は言います。
 農場で、お互いに注意して不良牛を出さないように気をつけるには、意識を変えなければできません。その意識を変えるトレーニングとして素手での便所掃除がお勧めです。
 不良牛を出さないようにするための技術的なポイントは、講習会や畜産技術者の農場での指導、あるいは、いろいろな本で書かれているように、ほとんどの項目は多くの農家が知っています。でも、なぜ、できないのか。それは意識の差なのです。

人間は意識で物を見ると言われています。同じものを見ても、必ず同じに見えているかどうかは、わかりません。
同じ牛を見ても、肥り方、毛ツヤ、元気さ、汚れ具合、腹の張り、蹄の状態など、これらが危険な状態になりつつあるのか、問題が出る可能性があるのか、すぐに対応が必要かなど、人によって意識によってどう見えるのか違ってきます。
 また、牛舎環境をみても、暑さ寒さ、空気のきれいさ、寝床の状態、えさ箱の衛生状態、水の状態なども同じように、これから危険なことが起こる可能性があるかどうかは、意識によって見えるかどうかが違ってきます。
 異常なことが起こって、対応すればいいという気持ちから、異常なことが起きないようにどう管理するかという気持ちになれるのかどうかが、分かれ道です。
(つづく 著:山本浩通)

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