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数面麻子のコラム
第129話:補液いろいろ

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2016年5月20日

 「輸液」と一口に言っても、投与経路は色々あります。獣医師がよくやる方法は静脈から点滴する方法だと思われます。他には経口や皮下への投与があります。この中でも経口補液は比較的誰でもできる方法です。経口補液は静脈補液に比べて脱水やアシドーシス改善の効果は弱いので、牛さんがふらつくなどの重度の脱水が見られるときは静脈での補液を行うのが良いです。しかし、そのような場合以外であれば、点滴の速度を考えなくても、牛さんの消化管から吸収される速度で水分や電解質の補正ができるので安全な補液方法でもあります。

 今回は下痢による脱水にスポットを当ててみます。子牛が水様下痢をどんどん排出しています。この便のなかにはナトリウムなどの塩分も含まれています。これら失われた水分やナトリウムを経口補液で補います。ナトリウムの吸収を促進してくれるものにブドウ糖があります。ブドウ糖はエネルギーにもなりますので一石二鳥の働きをしてくれます。

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