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佐々隆文のコラム
「ビタミンAの話−2 「肥育牛のイメージ」」

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2007年10月12日

 ビタミンAのお話に入る前に、肥育牛について少し。
 肉用種のなかでも黒毛和種は、世界でも類を見ない脂肪交雑の優れた遺伝的能力をもつ品種です。この牛肉の霜降り(筋肉内の脂肪交雑)のイメージは、人それぞれでありますが、私個人としては、芸術品のような美しさがあると思います。またそれを作り上げる牛飼いさんは、まさしく職人さんだと考えます。しかし人によっては、筋肉内に脂肪が入っているなんて病気だ、無理やり濃厚飼料を食べさせるなんてかわいそうなどと言う人もいます。
 本当に病気なのでしょうか?肥育に携わる人なら分かると思いますが、病気になった牛さんが濃厚飼料を食べるでしょうか?濃厚飼料を食べない牛さんにサシが入るでしょうか?
 答えはNOです。職人さん(牛飼いさん)は、いかに牛にストレスを与えないで肥育期間を通して濃厚飼料を食べてもらえるか、模索し努力し作り上げているのです。
 また私達人間が、いくら高カロリーのものをたべても、黒毛和種のような脂肪交雑(サシ)を作ることはできません。筋肉内に脂肪を蓄えられるのは、但馬牛を起源として近親交配を重ね、筋肉内に脂肪を蓄えられるような品種を確立させたのです。これは黒毛和種を筆頭に優れた遺伝的能力を持つものたちのみが成せる才能なのです。そして職人さん達は、その才能をいかに発揮させられるか、日々努力されているのです。 
 こういった実際の肥育牛のあり方が消費者のみなさんに伝われば、霜降りの肉を見た時のイメージがもっと良く、そして美味しく、見て頂けるような気がします。
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