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蓮沼浩のコラム
「第254話 「抗生物質あれこれ その7」」

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2011年11月24日

 前回お話ししたように肺に進入してきた細菌の中には白血球をやっつけるための「ロイコトキシン」という外毒素を出すものがいます。このロイコトキシンの攻撃を受けた白血球は細胞膜構造が破壊されてしまい、内部の消化酵素や炎症誘発因子が外に出てきます。このような変化を
NECROSIS(ネクローシス:壊死)といいます。しかし、マクロライド系の抗生物質を投与されている場合、好中球などの白血球に薬が取り込まれることでProgrammed cell death(PCD:プログラム細胞死)のスイッチがオンになります。このスイッチがオンになった状態にある場合、ロイコトキシンにより好中球がやられても細胞膜構造が破壊されることなく小さく萎んでいきます。これをAPOPTOSIS(アポトーシス:枯死、細胞消滅)といいます。そしてすみやかにマクロファージに貪食されることがわかっています。つまり、アポトーシスを起こすことで細胞外に消化酵素や炎症誘発因子が出る事を防ぎ、それにより肺組織の損傷を防ぐというわけです。

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