 |
第36話:寄生虫の話㉘ |
コラム一覧に戻る
2014年5月23日
肝蛭の成虫は胆管に寄生し、そこで3cmほどに成長すると産卵を始めます。
卵は牛さんの糞便と共に排出され、水中で発育を開始します。夏の水温が高い時期では約2週間で卵の中にミラシジウムが形成されます。低温では発育に時間がかかり、10℃以下では発育しないとされています。形成されたミラシジウムは強い光と冷水に反応して活発に動くようになり、卵の蓋を開けて外の世界に出てきます。ミラシジウムには眼点があり、光のある方向に向かって動く「走行性」を持っており、体表を覆う線毛を使って水中を泳いで中間宿主(牛さんは終宿主)である、ヒメモノアラガイという貝に寄生します。
貝に寄生したミラシジウムはその後、スポロシスト、レジア、セルかリアと成長していき、貝の呼吸孔から離脱します。セルかリアは尻尾のようなものを持った構造をしており、その尻尾を使って泳ぎ、被嚢するのに適した場所を求めて移動します。

前の記事 第35話:抜歯 | 次の記事 第37話:針の穴から |