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第37話:針の穴から |
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2014年5月30日
「せんせーい、この部屋の2頭の牛の肩が腫れてるんだけどー。」
見てみると、頚部に幅20cm以上の腫瘤があります。しかも2頭とも全く同じ場所。

穿刺してみると膿が出てきたので、切開することに。すると、膿がどっさり・・


2頭とも切り傷のようなものは無く、部屋を見渡しても危険そうな場所はありません。何だろうかと帰って蓮沼獣医師に聞いてみたところ、
「そりゃ汚染した状態で注射したからだよ。」
ここでは薬治した薬を農家さんに処置してもらうことが結構あります。
どうやらその際に手か牛さんの体が汚れていて、注射針とともにその汚れを押し込んでしまったのではないか、という結論になりました。
針の小さな穴からこんな大きな化膿創になるのかと驚きましたが、細菌にとっては針の穴なんてかなり大きな洞穴でしょう。
注射1つでも衛生的にやらないと感染の原因になるのですから、他の処置をする際も衛生管理を徹底することは言うまでもありません。
今回の症例は自分にとっても良い勉強になりました・・・
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