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池田哲平のコラム
牛の解剖125:雌性生殖器(8)

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2013年10月4日

 焼き肉屋さんやホルモン屋さんで“コブクロ”と呼ばれる子宮は、まさに袋状の組織なのですが、実は発生過程(赤ちゃんの状態でお母さんのおなかの中にいる時に各組織が出来あがってくる過程)では最初から袋状に存在しているのではなく、2本の管として出来上がってくるのです。

 お腹の中に、“中腎傍管(ちゅうじんぼうかん)”と呼ばれる管状の組織が左右各1本ずつ出来あがり、その管の一端は卵管や卵管ロートになって卵巣に伸びるのですが、もう一端は左右の中腎傍管が癒合して、一つの管状の組織を作ります。この部分が子宮体や子宮頚管になります。

 哺乳類はどの種類もほぼ同じように各組織が出来あがってくるので、牛さんも人も同じように子宮は出来あがってきます。牛さんの子宮の子宮体は比較的小さく、左右の子宮角が明確に分かるので、かつては左右別々の管状の組織だったというのが分かりやすいと思います(子宮の種類としては“双角子宮”といいます)。一方、人の場合は子宮角はなく、癒合部分である子宮体はとても広く、まさに袋状の組織になります(子宮の種類としては“単子宮”と呼ばれます)。

牛の解剖125:雌性生殖器(8)

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