(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
池田哲平のコラム
牛の解剖124:雌性生殖器(7)

コラム一覧に戻る

2013年9月27日

(3)子宮

 子宮は卵管から下ってきた受精卵が着床を行い、胎子へと成長していく場所です。焼肉屋さんで出される名称では“コブクロ”と呼ばれ、まさに子が成長する袋なのです。食べたことがある人はわかると思いますが、コブクロは独特のやや硬い弾力のある食感があります。これは、子宮の大部分が平滑筋とよばれる筋肉で構成されているからであり、子宮はこの平滑筋の働きによって強く収縮することができます(平滑筋の説明は、過去のコラムに載せているので参照してください)。

 発情周期の中で卵巣がダイナミックに変化を起こしたように、子宮も周期的に変化をします。発情期には子宮内にある粘液腺から分泌される粘液(いわゆる“発情粘液”)が子宮内を満たし、精子を受け入れ、選抜し、卵管へと通過させるような環境に変わります。発情粘液は子宮外にも出てきて体の外からでも確認できるようになるので、この粘液が出てきているかどうかを見ることが発情発見の一助になります。この時、子宮は子宮平滑筋の作用によって強く収縮するので、直腸検査によってこの収縮具合をチェックすることも、発情状態かどうかの判断材料になります。
その後、非発情期には精子と受精した卵子を受け入れるような環境へと変わり、受精卵の存在を認識して妊娠を維持する(=次の発情が来ないようにする)ようになります。

牛の解剖124:雌性生殖器(7)

|