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池田哲平のコラム
牛の解剖103:尿道(1)

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2012年6月8日

 尿が溜まって膀胱がある程度拡張すると、膀胱は尿を体の外に出そうと収縮します。このとき、尿が体の外に出るときの通り道が“尿道”です。尿道はその出口が外部生殖器に続いているので、雄と雌とで構造が違いそれぞれに特徴があります。
 
 雄の尿道は、成牛では1mほどにもなるくらい長く、その大部分が陰茎として体のお尻側からお腹側へと伸びていきます。始めは、膀胱からお尻側に伸びて出ていって肛門の直下辺りでお腹側に曲がっていき、そしてS字状の特徴的な曲がり方をして体の外に出ます。
 対照的に、雌では尿道は膀胱からまっすぐお尻側に伸びて行ってすぐ膣の部分に開口します。

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 この様に、雄の尿道は雌に比べて非常に長く曲がった構造をしています。これに加えて、雄の尿道は雌よりも非常に細くなっています。直径は大体5mm~6mmくらいで、1cm近くある雌と比べて2/3ほどの太さしかありません。この為、雄(去勢)牛は雌牛に比べて尿石症による尿閉が非常に起きやすいのです(尿石症に関しては別で詳しく紹介します)。

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