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池田哲平のコラム
「脂肪壊死症を考える(7) 〜見つかったらどうする?〜」

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2011年5月27日

 では脂肪壊死症と診断された牛はどのように治療を行っていけばいいのでしょうか?
 これに関しては非常に多くの治療法が取り入れられており、研究も進んでいるのですが、「これだという確立された治療法はまだない」というのが実際です。というのも、以前のコラムで紹介したとおり、脂肪壊死症の原因そのものが未だにはっきりとは分かっておらず、多岐に渡って考えられている原因をそれぞれ解消すべく、あらゆる治療を順々に試していかなければならないからです。また、その治療には比較的長い期間(数週間〜数ヶ月)が必要であり、治療コストや飼養管理の負担も増加します。経営のためには、治療費と治療後得られるメリットとを天秤にかける必要があります。
 これらを考慮した結果、肥育牛では多くの場合、出来るだけ早くに出荷するという選択肢を選びます。肥育牛で脂肪壊死症が発症するのは、多くが生後25ヶ月を超えた肥育の後期〜仕上げ期に入った牛たちです。経済価値は充分にあります。不安定な食欲では体重も落ちてしまい、みるみる痩せていきますし、治療にコストと時間をかけるよりも、出荷するのが最善の策と言えます。
 では、もし治療するとしたらどのように行うのか?次回以降紹介していきたいと思います。

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