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池田哲平のコラム
「牛の解剖74: 結腸(1) ~細かく分かれる~」

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2011年3月4日

 盲腸に続く腸管は結腸です。結腸は細かく分けるとさらに3つに分けられて、動物種ごとにとても大きな違いが見られる特徴的な部位です。
結腸を3つに分けると、“上行結腸”“横行結腸”“下行結腸”と呼びます。それぞれ読んで字のごとく、結腸が“上に行く部分”と“横に行く部分”と“下に行く部分”になります。しかし、これはヒトの解剖学の言葉から取ったものなので、現実には動物で上に行ったり下に行ったりということはないんです。
 皆さん、自分の体で想像してみてほしいのですが、盲腸がおなかの中の右下(おなかを正面から見た場合、お臍の左下)の方にあるのは知っていますか?この盲腸の続きから結腸は始まるので、盲腸から体の右側を上(頭側)に向かうのが上行結腸、あばら骨の辺りで横向き(左方向)に向きを変えて伸びるのが横行結腸、そしてそこから体の左側を下向きに伸びていくのが下行結腸です。厳密には、この後直腸につながるための“S状結腸”というのもあるんですが、これは置いておきましょう。
 ヒトの場合、結腸はそれぞれの部分で真っ直ぐに伸びているのですが、動物の場合、特に上行結腸の部分が動物種ごとにとても変化に富んでいて、なかには非常に複雑な形をしたものもあります。(つづく)
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